「松橋くん、ちょっといい??」


放課後、クラスの中で声をかけるとまわりから冷やかしの声が聞こえたけどそんなの気にしない。


松橋くんも「そういうのじゃないから」といってわたしに「いいよ」といってくれた。


教室や廊下で話すとまわりの目もあったから、ちょっと遠いけどわざわざ屋上まできた。


「ごめんねわざわざ」


「大丈夫、それよりなんかあった?」


「うん、実は聞きたいことがあってさ」


「ん?」


「花火大会のときさ、わたしと海斗花火が始まる前に抜け出したじゃん?それどこにいってたか知ってる?」


「え?俺が?いや、知らないよ」


「・・そっか」


やっぱり郁美の言ってたことは正しかった。

あれは松橋くんから聞いた場所じゃなかったんだ。


じゃあ、なんで海斗はわざわざそんな嘘ついたんだろう?