モノクロームのKiss

ドキッとした。

「緊張してるでしょ?」

「ふぇっ......?」

情けないかな。プロが。

キスなんて今まで何人のお客さんとしてきたの?

1日平均3人として、12日出勤だから半年で......216人!!

それなのに。どうして、こんなにも彼とのキスは特別ドキドキするんだろう......。

私のファーストキスは中学3年の夏だった。

相手は初めて出来た同い年の彼氏。

小鳥のようにそっと触れ合うだけのキスだった。

今もそう。彼の唇にほんの少し触れただけなのに、心臓が破裂しそうなくらいドキドキしてる。

「みなみちゃんのキスは小鳥みたいで、かわいいね。.......俺が本当のキスを教えてあげる」

えっ!?

本当のキスってーー。と、考える間も無く彼に唇を塞がれた。

柔らかくて温かい彼の唇はスッと私の緊張を溶かして、ふわふわと漂う雲の上で眠っているような心地よい感覚を与えた。

こんなキスは初めて。今まで、たくさんのお客さんとキスしてきたけど、それについて何か感想を持ったことはなかった。

ただ機械的に唇を差し出して、次のプレイに繋げる通過点。

キス自体には何の意味もない。

触れ合うということに意味はなく。デリヘルを利用する、お客さん達はただ、身体の欲求を満たすために女の子を呼ぶ。

それなのに......。

彼は私をベッドの上で抱きしめながらキスをして、優しく髪を撫でたり、時には唇を離して微笑んでくれたりした。

「......緊張なくなった?」

「......ん......?」

「みなみちゃん、目がトロンとして眠たそうな顔になってる」

「えっ......?あ......」

「緊張とれたみたいだね。じゃあ、続き、お願いね」