部屋の中に入ってきたウィルの表情を見て、リリィは直ぐにウィルが怒ってることに気がついた。
「聞いたでしょ、いいの?騎士団長がこんなところに来て」
けれどリリィは気づかないフリをして聞いてみる。
「ご心配には及びませんよ。聞きました。力を使って子供を助けたようで」
「…え?なんでそこまで知ってるの?」
そこまではお兄様にも話してないのに。
「今日の姫の護衛に聞きましたよ」
そうだった…護衛がいたことすっかり忘れてたわ。
私が力を使ったことに怒ってるのだ。
相手にヴァンパイアの能力を使ったことが知られれば私の身分もバレて何かに巻き込まれるかもしれない。
「…ごめんなさい。無事だったから許して欲しいわ」
今回は自分が悪いので素直に謝る。
「なぜ私を連れてってくれなかったのです?この間のパーティーの一件もあり、姫は狙われてるかもしれないのですよ」
「今日はロイがいたもの。ウィルこそ私を守るための騎士じゃないんだから連れてく必要はないわ」
「それでも姫を守る権利はあるはずです」
謝ったのに全然話が終わりそうにない。
それに私がいくら言ってもウィルは絶対に折れてくれないのだ。

