永遠に愛を貴方に捧げて


「誰だ?!」

頭を押さえながら、枝が投げられた方へ男達の視線が向けられる。

そして、リリィの視線と交わった。

記憶を消させてもらうわね。
その瞬間、リリィの瞳が紅くなる。

何人いようが一瞬でも目が合えば力は使える。

「…あれ?なんで…こんな所で止まって。車輪が外れてる?どこかにぶつけたのか」
「おい、早く直して城に行かないと」
「そんなのわかってる!修理屋はどこにいるんだ?」

男二人が話している間に気配を消して子供のもとに近寄る。

「もう行きなさい」

リリィがそう言うと目に涙を浮かべた子供は小さく頷いて走ってその場からいなくなる。

「一件落着かな」
「そうね。今度こそ帰りましょう」
「城に戻ったところであの人間の使者が城に来るんでしょ?最悪な予感しかしないよ」
「同感よ」

今日、お兄様に会ったときに使者が来るなんて一言も言ってなかったし、隠している様子でもなかった。

予告なしに使者を遣わすなんて何を考えているのか。

この世界の平和と秩序が壊れるかもしれない、そんな気がした。