永遠に愛を貴方に捧げて




「はい、どうぞ」
「ありがとう」

城の中にある一室。
侍女を部屋に入れなかったため、やろうとするウィルを断ってリリィ自ら紅茶を入れて渡す。

「それで、話は」

リリィがソファに座って静かに尋ねる。

「実はさ…家出したからしばらく泊めてね」
「‥は?」

ニコリと笑って言うロイ。
家出した‥?


「バカなじじいどもがウザくて。アホすぎる議案を通そうとしたから俺が逃亡して会議が出来ないようにしたんだよ。議会の全員の賛成がなければ通らないからね」
「‥それ。全然人払いする必要ないと思うのだけれど」

ちらりと隣のウィルも見ると何を言っているんだという視線で呆れつつ見ている。

何の話か緊張したのがバカみたいだわ。

けれど、今度はロイは真剣な表情になる。

「ただの家出。だけど、その無理矢理通そうとした内容が問題なんだよね。…人間と協力してヴァンパイアの上に立つ」

ガチャンッ。

リリィの持っていたカップが倒れる。

「姫、火傷は?!」
「してないわ。していてもすぐ治るもの」

どういうこと?ヴァンパイアの上に立つ?
そもそもどの種族もみな平等だ。優劣なんてつけられない。