それはパーティーからの数日後のこと。

リリィはあの日ウィルの前で弱っていたのは嘘だったのかのように次の日にはいつも通りに振舞っていた。

リリィは昼食のあと、庭のベンチで本を読んでいたが本のページはずっと捲られないままだ。


数日前の一件について、纏められた報告書を見たがやはり侵入した人間はお金目当てであり、ただの駒に過ぎなかった。結局私が狙われた理由も何もわからなかった。

頼んだ人間は本気で私を狙ったのか。
どこの種族でも王族が狙われることは多々ある。

‥考えても無駄ね。
それに王族として生まれた以上平穏に暮らせるなんて思ってないもの。

正直、男のヴァンパイア相手でもリリィは力を使えば勝てる。

ウィルにだって、身体能力においては圧倒的に負けているけど力を使えば勝てるかもしれない。

そういえばあれからウィルに会ってない。

抱きしめてもらった後、リリィの部屋まで送ってくれたウィル。

本当はもう少し側にいて欲しかったが、それは許されないこと。

小さい頃からずっと一緒にいて兄妹の様なのにな。

けれどお兄様が私の結婚相手はウィルだってみんなが噂してると言ってたし、周りにはそう見られてしまっている。

…抱きしめてもらうことも、もう駄目ね。

ウィルと私が同じ道を進むことはない。
私もそろそろウィル離れしないと。