王宮主催のパーティー当日。

たくさんの人が城へと入るのをリリィは自室の窓から眺めていた。

「はぁ…」

たくさんの人が来てるということは、それだけの人と言葉を交わさなければいけないということだ。

王族である以上、みんなが挨拶に来る。

「出たくないわ…」

満足に食べることもできず、いつも終わる頃には一歩も歩きたくないほど疲れる。

嫌だなぁと思いながら外を見ているとドアを叩く音がして、侍女が入ってくる。

「リリィ様、今夜のドレスはいかが致しましょう?」

「目立たないものがいいわね。飛びっきり地味なもの」

誰にも見つからないように端っこに隠れていたい。

「お気持ちはわかりますが、それではリリィ様の美しさが引き立てられませんわ」

「誰かに美しく見られたいなんて思ってないから大丈夫よ」

私が笑いながら言うと侍女は溜め息をついてから渋々シンプルなドレスを持ってくる。

「これぐらいは妥協してください」

持って来たのは、水色のドレス。
レースも少なめでシンプル。

けれど、

「ちょっと胸元開きすぎではないかしら?」

「デザインですとこれが一番シンプルです」

「…わかったわ」


あまり言いすぎるとただの我儘になってしまうので若干納得いかないが受け入れてドレスに着替えはじめる。