【Side:菅野大志】

 好きな人を『ニコちゃん』ではなく、『ニコ』と呼べるようになった。
 キスするたびに、ニコの唇の柔らかさが痺れとなって伝わり、ニコが恋人になったことを実感する。
 幸せすぎて、死にそうな気がする。
 心臓がドキドキしすぎて、オーバーヒートを起こしそうだ。
 全然人を好きになれなった俺は、もちろん恋愛初心者。
 しょっちゅう告白されていたけど、告白もキスも、すべて、ニコが初めて。
 ニコの初めてがすべて俺で、俺の初めてがすべてニコで……。
 幸せすぎて、涙が溢れそうになる。
 キスに慣れないニコは、何回かキスをされると、頑張って唇を尖らせ、自分から差しだしてきた。
 マジでヤバい。
 この生き物。
 可愛すぎて、誰の目にも触れないように隠してしまいたくなる。
 そんなことをしたら、真っ先に見崎ちゃんと谷地ちゃんと仁美ちゃんに叱られるだろうが……。
 可愛すぎる。
 可愛すぎるって罪だ。
 この生き物が一生俺のものになるなら、なんだってする。
 ニコ、愛してる。
 一生護るから。
 一生俺といてください。
 死ぬまで俺といてください。
 願いを込めて、俺はさらにニコの甘くて柔らかな唇を奪った。

Fin