あのお守りが恋愛のお守りだったと知ったら、大志さんはどんな顔をするんだろう。
 鞄に忍ばせていたことをずっと忘れていたお守り。
 持ち主に存在を忘れられながら、ボロボロになってまで素敵な恋を成就してくれた。
 本当のことを知られるのは恥ずかしいけど、生徒会の夏合宿がおばあちゃんちで始まるまでには話したい。
 何も話さないまま、あのお守りが恋愛成就だって知られたら、色々誤解されそうだもん。
 大志さん、あのお守りは私にとって受験のお守りだったんですよ。
 恋愛のお守りだって意識したのは、大志さんとの恋が叶ってから。
 このお守りに宿った恋愛の神様は、見られてなくても、感謝されなくても、意識されなくても、素敵な恋を叶えてくれる優しくて気前のいい神様なんですよ。

Fin