菅野さんの唇が私の唇をパクリと挟んだ。
 そして、ゆっくりと離れた。
「美味しい」
 独り言のように呟いた菅野さんが、満足そうに微笑んだ。
 そして、また唇を近づけてきて……。
 私、菅野さんと両思いになれたんだ。
 大切に扱われる幸せと、くすぐったさと、喜びに、私は小さく震えた。
 私は高鳴りすぎる胸に死んでしまいそうになりながら、自分からも奪われるために唇を尖らせた。