一生隠し続けるつもりだった思いを告白してしまい、気が動転した私の目から涙が溢れた。
 好きだと知られて、距離を取られたら……。
 振られたら……。
 そんな恐怖に、心臓が激しく痛んだ。
 一度発した言葉は戻らない。
「私も菅野さんが好き」
 私は毛布をギュッと握ると、振られる覚悟で思いを言葉にした。
 振られる恐怖となけなしの勇気を振り絞った体は震えた。
 声も震えた。
 涙がボロボロと流れて、私の手や毛布にボタボタと落ちる。
「触れてもいい?」
 菅野さんがゆっくりと両手を伸ばしてきた。
 気持ちが溢れすぎて言葉に詰まった私は、コクリと頷いた。
 菅野さんの指が、そっと私の両頬に触れた。そして、滑るように優しく両頬を包み込んでくれた。
「これが……俺のモノ?」
 自信なさそうに菅野さんが尋ねてきた。
 私は頬から伝わる菅野さんの手の温もりに、勇気をもらいながらゆっくりと頷いた。