「俺、ずっと……お守りを拾った日からずっと……キミが好きなんだ」
 そう菅野さんに言われた瞬間、夢を見ているんだと思った。
 真剣な表情で真っ直ぐ私を捉える菅野さんの瞳に、無表情に近い私が映る。
 ああ、可愛くないなと自分に思った。
 こんな私が告白されるなんて、やっぱり夢を見てるんだ。
 緊張しすぎて全身を強張らせながら、頑なにそう思った。
「愛してる」
 少しの間を置いて、菅野さんの言葉が続いた。
 表情をつらそうに歪めながらも、菅野さんは真っ直ぐに私を見つめ続けた。
 おとぎ話のような現実に、私は動くことができないまま言葉を失った。
「俺の恋人になってくれませんか?」
 続いた菅野さんの声が、微かに震えた。
 菅野さんの瞳が、私を捉えたまま潤みだした。
 瞬間、私の動きを封じ込めていた緊張が割れるように消えた。
 「嘘っ! 菅野さんが私を好きなんてありえない」そう思いながら、私の唇は「好き」と漏らしていた。
 自分の体なのに勝手に動いた唇。