「愛してる」
 俺は緊張で渇く喉をどうにかしようと、唾を飲み込んだ。
 異様なほど、唾を飲み込んだ音が耳に響いた。喉が上下したのが伝わってくる。
 ドクンドクンと伸縮していた心臓が、ドッドッドッドッと急ぎだし、異常なほど俺の中で鼓動を響かせる。
 ニコちゃんは黙ったまま、真っ直ぐに俺を見つめ続ける。
 何も言わないってことは、このまま振られるんだろうか。
 不安と恐怖が俺の心臓を竦ませる。
 けど、ここまできたら引き返せない。
 俺は覚悟を決めると、息を吸い込んだ。
「俺の恋人になってくれませんか?」
 俺は全身全霊精一杯の思いを込めて、ニコちゃんの瞳を見つめ続けた。