「しつこい!」
 俺に気づかない超性格ブスが、ニコちゃんの背中のブレザーを掴むと、腹に蹴りを入れた。
 そして、怯んだニコちゃんを振り飛ばした。
「なんなのコイツ、マジ」
 仲間へと振り返った超性格ブスが、
「えっ……なんで……」
 と狼狽えながら固まった。
 俺はソイツを無視して、起き上がろうと床に手をつくニコちゃんの前へ、滑り込むようにして片膝をつくと、思いきり抱きしめた。
「違う! 私は何もしてない。濡れたコイツが急に抱きついてきたら、ビックリしただけで」
 超性格ブスの言い訳を背に、俺はニコちゃんの両頬に包み込み、顔を覗き込んだ。
 ニコちゃんの頬が、氷のように冷たい。
 俺は愛する人を俺は守れなかった悔しさと怒りに、奥歯を噛みしめた。
 超性格ブスは無視でいい。
 あんなの、喋る価値もない。
「証拠ならここにありますよ」
 ヒロの楽し気な声が聞こえてくる。
 性格ブス組はすべてお前に任せた。