4階に上がる途中で、
「何すんのよ! このブス!!」
 女子の怒鳴り声が聞こえた。
 上からだ。
「教頭早く! 逆井先生も早く早く!」
 下からはケイの声。
 見上げれば、階段を結ぶT字の廊下で、ヒロが壁の向こうを覗いていた。
「キャッ!」
 ニコちゃんの悲鳴がして、一瞬、俺は全身を硬直させた。
「ヒロ、ニコちゃんは」
 俺はヒロに駆けよると、そこからの光景に絶句した。
 倒れていたニコちゃんが起き上がり、4人いる女子生徒の1人にタックルした。
「濡れるって! 離せよ。汚い! 邪魔っ!!」
「イヤです。菅野さんに告白しないって約束してくれるまで離しません!」
 懸命にしがみつくニコちゃんはずぶ濡れだった。
 一方、4人は濡れてない。
「もうヤダコイツ、超ウザい!」
「アホなんじゃない?」
「クリーニング代出せよブスッ!」
 ニコちゃんをブス呼ばわりした性格ブスが、ニコちゃんを振り飛ばした。
「ニコちゃん!」
 叫んで駆けだした俺に気づいたのは、ブスら3人。
「嘘っ!」
「なんでここに?」
「マジヤバいって」
 慌てる3人の少し奥で、ニコちゃんが巨乳で可愛いと男子に持て囃されてる超性格ブスの女に体当たりした。