高校生活2日目の朝。
 私はスクールバックの内ポケットに、おばあちゃんのお守りを忍ばせた。
 合格祈願のお守りなら、もう願いごとは叶っているから神社に返却だけど、この小さくて可愛い巾着は恋愛のお守り。
 無事に志望校へ進学出来たし、リカちゃんとハルちゃんの2人と同じクラスになれたしで、いくつもの縁を繋げてくれて、もしかしたら力を使い果たしちゃってるかもしれないけど、返すのは可哀想な気がした。
 だって、返したら燃やされちゃうんだよ。
 だから、もう少し。
 もう少しだけ一緒にいよう。
 お守りの効力は1年だっていうし……。
 私は巾着に話しかけた。
「恋の神様、凡人な私に恋は難しいと思います。だから、恋のお守りとしてではなく、色々なご縁のお守りとして、私をそっと見守ってくださいね」