そして、今に至る。
「ヤバッ! この人、本気だよ」
 引き気味なヒロに、
「マジだから怖くなるんだろうが」
 俺は不敵に笑った。
 ヒロが瞬いた。
 よし。
 まずは挨拶だ。
 そして、俺のことを覚えているか尋ねる。
 ニコちゃんのことだ。
 絶対に俺のことを覚えているだろう。
 次に合格を喜んで、そして名前を覚えてもらって。そして……。
 俺は、思い切り吸えるだけの空気を吸った。
 そして、静かにゆっくりと吐きだしながら、気持ちを切り替えていく。
 大丈夫。
 俺はやれる。
 うまくいく。
 ニコちゃんのことを思うと、自然と笑顔が零れてくる。
 自分に暗示をかけながら、再び息を吸った。
 今度は、ニコちゃんに呼びかけるために。