日曜日

どうせこないことは分かってるけど一応約束の場所に来て見た。


「おせぇよ。森原愛・・・」


藤堂君は私より早く来ていた。


何でいつも私の名前、フルネームなんだろ、と考えながら

「ごめん、準備が遅くなって・・・」

と応えておいた。


「ま、いいか。行こうぜ」


そういって藤堂君は私の手を握る。


「え!!?」

あまりにもびっくりしたから大きな声が出た。


「え・・・あー・・・ごめん・・・!また嫌がらせたな」

そう言って藤堂君は私の手を離す。


「いやいいの!でもなんで手、握るのかなー・・と思って・・・」


「・・・森原愛、今日可愛いじゃん。握りたくもなるし」


藤堂君は以外にも私の外見を見てくれていた。

なんだか今日は話しやすいし。


「てか今、いいっていったな?」

そういってまた私の手を握る。私も、握り返す。


「ねぇ、愛って呼んでいい?森原愛って呼びにくくてさ」

会話がなく、困っていた私にふと話しかける藤堂君。

「う、うん・・・」


「そか。ありがと。」


「いえ・・・」

また会話がなくなってしまった。

手はまだ握っているままだ。

傍から見ると恋人同士に見えるかな、と思う。


でも、これも藤堂君の気まぐれだと思っていた。


「しかし愛って眼鏡でころっと変わるよな」

また藤堂君が話題を出してくれた。

「そんなことないよ!掛けてても掛けてなくても全然冴えないし。」