―次の日―

歩はのそのそと起き、学校の準備をした。

昨日、家に帰ったあとベッドで泣き、目が赤く腫れあがっていた。



「いってきまーす・・・」

「あら今日は早いのね!太一くん、まだ来てないわよ?」

「いいの・・・」


がちゃ

そこには昨日の朝に見たものと同じ光景があった。


「・・・はよ。」

太一は少々うつむき気味で挨拶した。

「太一・・・あのね!昨日は・・・」
「ごめん!!!」

歩が謝ろうとしたときに太一の口からでた言葉だった。


「俺、ほんとはすげぇ嬉しかったんだ・・・」


「太一・・・」


「すげぇ好きでいきなり告白とかされて・・・吃驚した。俺からしようと思ってたのに・・・怖かったんだ。アユとの今までの関係が壊れるの」


そういって、歩を優しく抱きしめた。


「う、うそだぁ・・・!」

歩は泣き出して、太一の胸に顔を埋めた。


「嘘なわけねぇじゃん!今まで7年間だぞ!?ガキんときからずっと好きだった・・・!」

「私も太一好きぃ・・・大好きぃ!」


こうしてふたりは無事、結ばれた。


いつものように歩く。手を繋いで。


「あー・・・言い忘れてたけど、伸久もお前のこと、好きだよ」

「え?のぶくんも!?どうしよ~・・・」

「どうしよ~・・・って!振るだろうが!普通は!」

「ごめんごめん!でも太一の親友だし傷つけたくないなぁ・・・」


「・・・そういうとこ、可愛い・・・」


ちゅ、とキスされ、顔を赤らめる歩。

「もー太一の変態!!」

「付き合ってんだからいいじゃんか!つかあいつのこと考えるの、また今度でよくねぇ?」

「えーなんでぇ?」

「俺といるときは他のヤツのこと考えちゃだめー!」


にかっと笑う太一の顔は優しくて、暖かかった。

紀美子にもお礼を言わないと、と考える歩。


「あ、今誰のこと考えた?」

歩はそう聞かれ、まるで見透かされているような気分に思えた。


「へへー秘密!」

「あ、こいつー!!」




ふたりの笑顔は絶えることはなかった。




*END*