ピンポーン


「歩ぃー!太一くん来たわよー!!」


「もーなんでいつも早く起こしてくれないの!?」


「自分で起きなさいっていつも言ってるでしょー」


「行ってきまーす!」





「・・・アユ遅い。いつものことだけどな」


「ごめんごめん!お母さんが起こしてくれないから・・・」


「母ちゃんの所為にすんなよー」


「あははー」


「笑って誤魔化すなよ!ってやべぇ遅刻する!!」


太一はぐい、と歩の手を引いて走り出した。




「ど、どうにか間に合ったな!」

「もー太一、足速スギー!!めちゃめちゃ余裕で着いたじゃん!」

「アユ、遅スギ。てかちょっと太った?」

「うるさいっ!」


歩は最近、自分でも気になる程太ってきたらしい。


「太一ぃ!おはよっ!歩ちゃんもおはよー」


喧嘩腰のふたりに声をかけたのは太一の親友・富沢伸久だった。



「のぶくんおはよー!聞いて!太一ってばひどいんだよ!」


「太一、また歩ちゃんのこと苛めたのか?そろそろ嫌われるぞ!?」


「はっ!!別にアユなんかに嫌われても痛くもかゆくもないし!」


「ひどーい!!なにそれぇ!」


「あははは!ほんと仲いいなぁ・・・太一と歩ちゃんは。」



そう。仲がいいだけ。私がどんなに太一のことを想っても気づかれることはない。

今までずっと、小学校から幼馴染として接してきた。

この関係を崩したくないから告白しないんだよ?

太一に気づいて欲しい。お願い・・・胸が苦しいよ・・・太一・・・