朝のこの時間だ。誰もいない。










このこじんまりとした公園は幼い頃にパパとお兄ちゃんと一度だけ来た事がある。











とっても楽しかった。



あの頃は今ほど体も弱くなくて。











裸足で出てきたので足の裏は痛いし、

パジャマでは12月の気温は寒い。












おまけに何故か息があがってうまく呼吸が出来ない。









「ハァハァハァハァハァッハァ」











そのままベンチに倒れ込んだ。











「ゆっくり息を吐け。」









上から降ってきた声の持ち主は銀髪の男だった。










その男は私の隣に座り、抱き起こしてくれた。










少しずつ息が苦しくなくなる。









「収まってきたな。訳有りなんだろ?このままじゃなんだし俺の家来るか?」










その言葉に少しの不審感を覚えたが、私自身もう体力が底をついていたのと自暴自棄ぎみだったので、そのままついていくことにした。










「はい。お世話になります。」











ベンチから立とうと足に力を入れてみたが、全く力が入らない。











「あっ」











地面に叩きつけられそうになる私の体を支えたのはやはり、銀髪の男だった。












「本当に世話の掛かるやつだな。」



そう言って笑いながら私をおんぶした。










不思議と安心するその背中に私は身を任せ、意識は深く落ちていった。