「先輩はもう少し気をつけたほうがいい」 ナオくんの声はとても低くて、大きく膨らんだ私の胸の中の風船は一気に萎んでいく。 そうしている間にもナオくんは最後の自転車を起き上がらせていて。 おまけに校舎からは予鈴が鳴りだした。 「やっば。結構ギリギリ。じゃあね、先輩。 ちゃんと気をつけて生きてね」 「うん。ありがとう」 ああ。 私の不注意のせいでナオくんには悪いことをしちゃったな。 今日の会話がもう終わっちゃうなんて寂しいけど、そんなことのためにナオくんを遅刻させるわけにもいかないし。