君を消したワタシ。君に消されたボク。


「はいはい。コウ様おはようございます。ご機嫌麗しゅう」

「モトハル……。怒るよ」

「ごめんて。ほら、行くぞ」

「ありがとう」

俺はいつものようにコウから自転車を受け取る。

コウは俺に自転車を受け渡す。

いつも通りの同じ流れ。

少しだけ違ったのはコウの『ありがとう』の言葉だけ。

特に深い意味はなく、今日はたまたまそう言う気分だったのだろう。

でもなんでか俺まで『ありがとう』と言いたくなる。

なんだか今日は初めからそう言う気分なのだ。