君を消したワタシ。君に消されたボク。


充実していて。

それが私の世界の全てだと思っていた。

だから衝撃的だった。

ナオくんを見た瞬間、私の視界は激変した。

それまでだって毎日きらきらの世界で生きてきた。

だけどそれが寄り一層鮮明に。

濃く。

強くなった。

「ケガはしてないですか?」

ナオくんの声はじんわりと私の中へ染み込んだ。

初めて声を聞いたのに、私はその声に酷い安心感を抱いた。