「何と痛ましい…!」

「もしも、訓練についていけなかったら?」

質問に対し、マーキュリーは暗い目をする。

「お仕置き部屋に連れていかれ、鞭で体を打たれたり、暴力を受けたりします。ナイフで背中を切り刻んだり、浴槽に縛り付けて水を流し込み恐怖を与えたり……」

会議室の温度がどんどん下がっていく。プルートのしていることが、あまりにも人間のすることとはかけ離れているからだろう。

プルートは何かに例えるのなら、自然界と同じだ。強い者が絶対。弱者となったものは支配され、暴力と理不尽さに耐えなければならない。例えそれが幼い子どもであっても、彼らにとって関係はない。子どもを死なせてしまっても、体が弱すぎる、役に立たない、と言いゴミのように扱うのだ。

「このままでは、この国の未来はありません!どうかプルートを壊滅させてください!」

マーキュリーが目に涙をためて訴える。明るく優しい彼女にとって、プルートの実態は想像を絶するほど残酷だったのだろう。

「…俺からもお願いします」

サターンが再び立ち上がり、頭を下げた。