隠し扉の中は、薄暗く人一人通るのがやっとの狭い通路になっていた。

ネプチューンは先を急ぐジュピターの後を追う。嬉しさで鼓動が高鳴った。

ネプチューンとジュピターの間に、会話はない。しかしジュピターが自分を信頼している、ということをネプチューンは感じ取った。

どれほどの距離を歩いたのか、ネプチューンにはわからない。ジュピターが立ち止まり、扉を開ける。光が差し込み、その眩しさにネプチューンは目を細めた。

そこは、アジトから遠く離れた山頂だった。まだ日が昇って少ししか経っていないので、人は誰もいない。

「……あそこがアジトだ」

ジュピターが遠くを指差す。

アジトでは火事が起こったようで、黒雲が空に上がり、炎が見えた。ジュピターが築き上げた城が崩れた王のように、その場に座り込む。その顔は絶望に満ちていた。

「私は、どうしたらいいんだ。もう何もかも失ってしまった…」

その顔を見て、ネプチューンは選択肢を与えることにした。贖罪のチャンスは与えても損はないだろうと思ったからだ。

「なら、警察に自首したらいかがですか?そうすれば仲間に再び会えますよ」

そう冷たく言ったネプチューンに、ジュピターが怒りながら掴みかかる。

「ふざけるな!!私はこの世界の王だ!!私のすることは正しい!!私は過ちなど犯したことはない!!」