――――翌日



「好美おはよー」

「………」

「あれ、聞こえてない?おーい……って、何見てんの?」





何やら騒がしさの増した周りを気にする余裕なんて、正直持ち合わせてなどおらず。

視線の矛先をジっと自らのスマホ画面に向かわせるあたしに小首を傾げた同僚が覗き込んで始めて、彼女の存在に気付いたあたしはと言うと。



「―――…ッ、ちょっと…!」

「ごめん見ちゃった」

「……思ってない癖に」

「えへへ」






瞬時に鼓動を速めた心臓に従うように端末を胸元へと引き寄せ、大仰に溜め息を吐くなり片手で髪を掻き上げる。

そんなあたしを見てにやにやと笑みを浮かべて見せる同僚の、何と性悪なこと。










「なになに。ついに浮気された?」

「………アンタの性格最高だわ」

「お褒めの言葉ありがとー」

「お目出度い脳みそね」

「それほどでもー」




終わりの見えない応酬に深く息を吐き出したあたしは、漸く観念し「見た?」なんて。

これまでの彼女の態度からすれば至って明瞭で、それでいて愚問に当たる問いを同僚に投げ掛ける。