「って!!何すんだよ、この歳になっても落ち着きねーのかお前は!」

「アンタがピーピー騒ぐからだろうが」

「(女じゃねえ…!)」



あー、なんか疲れた。

あたしが小さい頃からこの家にある、小粋なウッドチェアに腰掛けてお茶を啜る。




翔太と向かい合って座る形にはなっているものの、あたしが瞳を伏せている所為でその表情は確認出来ず。

ちなみに、このとき奴は疑心たっぷりの面持ちで此方に視線を向けていた。






「……なーにがお見合いよ」


ぼそっと吐き出した言葉は独白に近いもので。

ゆらりと揺れる水面に焦点を合わせたまま、無意識の内にまた溜め息を吐き出す。




と、そのとき。





「そんなに気に食わないか?」

「、…――!?」



ガタン、と。

やけにリビングに響き渡った椅子の音を何処か遠くのものに感じた。




いや、ちょっと待って。

それどころじゃないんだって。






「なにすんのよっ、!」


顎先に添えられたのが指だと理解するのに、ワンテンポのズレが生じた。