事の発端は、数日前の晩。

日曜日だったから二人で居たあたしたちは、取り敢えず近隣のスーパーに足を運んで色々と買い溜めをしたのだけれど。

ふと買い忘れに気付いたあたしが再度スーパーに戻っている間、翔太は大量に買ったそれらを一先ずマンションに運び込むことに落ち着いた。早く冷やさないといけない物もあったから。



でも、今思うと翔太を家に一人で帰したこと自体が間違いだったのかもしれない。





『ただいまー』




玄関で履いていたパンプスを脱ぎ捨てたあたしは、追加で買ってきた袋を腕に掛けたままフローリングに足を踏み入れる。

ひやりと爪先から伝わる冷たさが、少しだけ心地好かった。





――――と、


『おかえり』

『………』

『好美?』





バタン、と扉を開いてその光景を目の当たりにしたあたしは絶句。

そんな此方の様子を見て小首を傾げた男はというと、作業していたその手を休めて歩を進めてきた。言うまでもなく、あたしに向かって。






『どうしたんだよ』






決して無理矢理ではなく、宥めるようにあたしの腕からスーパーの袋を奪い取った翔太は尚も疑問を口にする。