「まさかお前が結婚するとはな」

「……意外ですか?」

「そりゃまあ。気を抜けば俺も喰われるんじゃねぇかと思ってたし」





思わず眉根を寄せてその顔面に視線を向けた。

それって、どんな印象なのよ。周りにそんな風に思われていたなんて何気にショックなのだけれど。








「部長だって、結婚されてるじゃないですか」


じっとりとした視線を交えながらそう零せば、片眉を吊り上げた男が面白げに表情を歪めて。








「ま、俺は愛妻家だから」


そう零しながら猟奇的に瞳を細める姿から、どこまでが本音なのか窺い知ることは難しい。





















―――――――――――…





「出ねぇのか?」




あれから暫くして。

一旦お開きとなり、外で同僚が二次会メンバーを募る中スマホの画面を黙視していたあたし。







そんな此方の様子をどう捉えたのかは分からないけれど、声を掛けてきたのは部長だった。