「…、……」



はあ、と目一杯の溜め息を吐き出した。

原因は友人から送られてきた「報告よろしく」と記されたメールで。




あたしを何だと思ってるんだ!

なーんて思って眉尻を吊り上げながら、長らく無沙汰になっていた実家の門を潜る。



―――ガラッ

奥底に眠っていた郷愁の思いを引き出すような音に一瞬足を留めながらも、何食わぬ面持ちで玄関の段差に腰かけた。




そして靴を並べ、自然な動作で顔を上げたあたしは。




「おかえり、好美」

「……誰?」

「えー、酷くね?」




幼馴染の顔も忘れたのかよ、なんて言葉を耳にして男の顔をロックオン。


台詞の割には全くダメージを受けていなさそうな、飄々たる風貌のそいつ。





「翔太…?」


自信なさげに口から零したのは、唯一幼馴染として認識している人物の名。




けれど何年も会っていなかった所為で、確信は持てず言葉尻が萎んでしまった。

あたしの言葉を聞いた男は、すっかり成熟した顔立ちに笑みを刻んで。





「ご名答」


その台詞が全て紡がれる前に、懐かしさに目を輝かせたあたしのタックルが炸裂した。