「ねえ、おかしくない!?付き合うなら分かるけど、なんで再会した初日に結婚なの!?」

「……なんだよ、好美は俺と結婚したくな――」

「そうじゃなくって!!」



口を尖らせてボソッと言葉を吐き出した翔太を睨みながら反論すれば、一度大きく目を見開いた奴は肩を竦めてみせた。


なんだその反応、むかつく。

思わずチッと舌を鳴らしたあたしに、母さんが戒めの言葉をぼそぼそと言っていたけれど。




自分の考えを曲げられないあたしは、机をバンッと叩きながらこう口にした。





「まず準備期間が必要だと思うの!」

「何の?」

「アンタとあたしの!」

「(そういう意味じゃねぇんだけど…)で、何のための?」


目的?そんなの決まってるじゃない。





「翔太が結婚相手に相応しいかどうか見極めるための、よ!」

「……、…」

「…、……」

「……」


「「「(それ、好美 《好ちゃん》が言うんだ……)」」」





みんなの胸中を察するどころか、相変わらず自己本位なあたしは自らの発言の満足感に浸りきっていて。

そんなあたしを、三人は苦笑混じりに見つめていた。






 preparation for the marriage
(果たしてこの二人、無事に結婚出来るのか?)