と、そのときだった。



「それは断る!」




バン!と勢いよく開け放たれた扉に愕然としながらも視線を向ければ、出来ればもう顔も見たくない男が立っていて。


「は…?」



思わずそう洩らすあたしは、驚きのあまり涙も引っ込んでしまっていた。





「好美が男になっちゃ困るんだよ!」

「っ、なによ、あんたに関係ないでしょ!?」



眼光鋭く奴を睨みつけるが、全く応えていないらしい男は真直ぐ此方に向かってくるから堪らない。





「来ないで、お願いだから来ないで…!」

「……好美」

「おねが、」

「お前が男になったら、俺が困るんだよ」



なんで、なんで。

包まれた熱が、その匂いが、全てが。




"翔太"の全部が愛し過ぎて、折角引っ込んでいた涙が再度溢れ出した。









「好美、好きだ。たぶん出逢ってからずっと」







………、……


―――……何だって?