テンポ良く進められる会話。しかしながら、比例して彼から快活さが失われていくのは気の所為では無いだろう。


「翔太。熱は?」





漸く辿りついた最寄駅付近のドラッグストア。

直ぐに開いた自動ドアをするりと潜り抜け、目線で探しながら目的の棚へと進んでいく。



"7度8分"

「うわ」

"しかも上がりそう"

「………明日から連休だってのに御愁傷様」






目の前に並ぶ沢山の商品。

口許に指先を添えて暫し吟味する。えーと、冷えピタは要るでしょ……。







"そんなん言ったら好美だって同じだろ"

「え?ごめん、聞いてなかった」

"だから、連休中俺がダウンしてたら今までの計画パァじゃん"

「はぁー?そんなの気にしなくて良いのに」

"………"

「なに、どうしたのよ」







急に黙り込んだ翔太に瞬きを繰り返すあたし。

手に持つ冷えピタを入口から持ってきたカゴに突っ込むものの、結局奴から言葉が後続されることは無くて。



「………寝た?」








無意識の内に変えられていた小声でそろりと口にしたあたしは、通話を切ろうとスマホを離そうとするけれど。