バタン、と。背後では扉が閉まる音。

それを何の気なしに耳にしながら、ふらりと覚束無い足取りでベッドに向かっていく。





「あ゛ー、つっかれた……」


勢い付いたまま、そこへダイブ。

そんなことをしている中でも、メイク落とさなきゃとか色々と考えは巡っていた。




けれど、じわじわと襲ってくる眠気に勝てるほどのものでも無くて。





「……も、無理」


呟くようにそう発したまま、睡眠の世界に旅立つことを覚悟した。

散乱している布団類を掻き集め、深く息を吐き出した――そのときだった。






―――リィイイイイン!


中々電話に出ない所為で友人に変えられた着信音。

耳にする度に飛び上がる心臓は必然で、そんな曰くつきの"黒電話"によって眠気は吹っ飛んでいった。





「は、もう……誰よ」


気分は最悪。

長く伸びた髪を片手で掻き上げながら、ベッド下に放っておいたバッグに腕を伸ばす。