私が秘書になってなかったら...
あの会社にいなかったら...
ここに来てる副社長のファンの子達と
同じように見てたかもしれない。
舞台に立つ副社長を見るために
スピーカーの横に陣取った私は
今日の話の内容を大まかにメモする。
私の後ろではイベントスタッフが
慌ただしく動き回っていた。
スタッフ「おい!音量が小さいぞ!」
スタッフ「セットの花が取れかけてる!
さりげなく直せないか?」
誰もそんな事気にしちゃいない。
ここにいる観客は副社長と
最近話題の地下アイドルの話に夢中だ。
どれだけ音量をあげたって
この会場のざわめきにかき消される。
花が取れてる事くらいどうって事ない。
でも、それがイベントスタッフの
仕事なのだから仕方ない。



