紫苑「到着致しました。
いってらっしゃいませ。」
エレベーターを降りる時
確かに聞こえた。副社長の舌打ちが。
イラッ。
秘書室へと戻った私は
副社長が買ってきてくれた
ガパオライスを冷蔵庫にしまう。
あの人のいい所を見つけて
嬉しくなってたけど
所詮、俺様でワガママなお坊ちゃま。
子供みたいだけど、これを食べたらあの人に
負けた様な気がして食べたくなかった。
私、こんな所で本当に働けんのかな?
このままじゃストレスで死ぬよ?
転職先、探そうかな。でもな...
高校を卒業して入社した会社。
高卒の私にこの会社の人たちは
冷たかったけど、努力して
頑張って死ぬほど働いて
エリート部署である海外事業部に
異動する事が出来て...これからって時に
何で突然あんなワガママな人のお世話係に
ならないといけないの?
考えただけでムカついてきたけど
私のこの性格じゃ、あんな
ワガママお坊ちゃまと
上手くやれるとも思えない。



