悠真「見せるから。紫苑に幸せな景色。」

私は、ずっと何を迷ってたんだろう。
こんな人がすぐそばにいてくれたのに。
何を怖がる事があったんだろう。

その答えは多分知ってる。
私が子供のまま大人になったせいだ。
副社長の事を5歳児のガキだなんて
ずっと思ってきたけど、大して
私も変わらない。幼い頃の寂しさと
孤独と空しさを乗り越えずに
歳だけ食って大人になった。

利口なふりをして
賢く生きてきたつもりだった。
でも、いつも私の足を引っ張るのは
幼い頃の私だった。

愛されたい。1人になりたくない。
嫌われたくない。いい子でいなきゃ。
そうやって自分を押し殺す
幼い頃の私が涙を流しながら
私に言う。1人ぼっちにしないでって。

でも多分、皆そうなんだ。
子供のままの自分が頭のどこかに
棲みついているんだ。