出社すると副社長は
私のデスクに座っていた。

紫苑「何してるの?」

悠真「うーん、考え事。」

紫苑「そう。紅茶淹れようか?」

副社長の返事はなかったけど
紅茶を淹れにキッチンへと向かう。

しばらくすると副社長は
ようやくこちらに届くような
小さな声で話し始めた。

悠真「昨日、親父に殴られた時
俺、初めて親父に認められたって
思ったんだ。」

淹れたての紅茶をデスクに置くと
副社長はありがとうと言った。

紫苑「そっか。」

悠真「でも、初めてだったから
分からなくて...どうやって
それを親父に伝えればいいのか
分からなくて会場飛び出してた。
変だよな。マジで気持ち悪い。
殴られて喜ぶなんて正気かよ。」