No border ~雨も月も…君との距離も~

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「 初ライブの……野外ライブ、チケット完売だってっ!! メジャーバンドの前座の前座だけど……
D-カク かなり注目されてるよぉ~!
嬉しいよね~こういう記事っ!!」

夏香は 嬉しそうに スマホをチェックしながら、スタジオに飛び込んできた。

「 何?何? どれ、どれ~!!」

タケルが記事を覗き込む。

「 やべぇ~!初ライブだよぉ (汗) 今さら、緊張してきたぁ~!! 」

「 ashの人気が いかに凄かったか……考えてみると、しばらく眠れないかもぉ~~!!ねぇ~シンちゃ~ん♡どーしょぉ~ 」

ジェイは無駄にバタバタしながら シンの顔に唇を近づける。

「 (笑) 近いっ。近いってぇーーーー(笑) 」

「 祝っ!!新曲のMV、視聴回数100万回だって!! スゴくね⤴⤴ 」

「 すげぇーーーーっ!!」

翔平とタケルは、よくわからないハイタッチで ケタケタ笑い合う。

「 今の 最大のライバルは、ash…自分かもしれない。」

「 ……あぁ。ashを、越えなきゃな。」

「 じゃないと…俺たちDーカクは、スタートにも立ててない気がするよ。」

「 ……うん! 越えるよ!! 」


少しだけ、震える。

シンは スマホを手に取って 操作しようと 親指を動かしたが……フッと その手を止めて 仕舞った。

「 どうかした……?」

夏香がシンを覗き込む。

「 手が……震えてる。(笑) 嬉しくて…。」

「 シン……。 最近、すごくいいよ!
声も 完璧だし……迷いが無いっていうか。」

「 ……くっ(笑) いつもと同じだよ。」

「 ううん……違う。」

「 ……(笑) そりゃ……どーも。夏香に褒められるとホッとするよ。」

シンは皮肉まじりに 冗談っぽく笑う。

「 デビュー曲のMV……めちゃくちゃ、いいと思う!
カッコいいし……尊敬するよ。」

「 マジで言ってる?(笑) 夏香に言われると…… 」

「 うん……(怯) 怖ぇーーーー!!」

「 確かにっ!!(怖) 」

「 なっちゃんが……シン君を褒めるって…何か災害の前触れ? レアすぎっーーーー(恐) 」

夏香は……シンの肩にそっと呟く。

「 ねぇ。シン……集中できてるよ。
逢わない方が……彼女と。」

「 …………。」

思わず言葉に詰まるシンに、翔平はギターの弦から顔を上げて 夏香を見つめた。

「 それ……どうかな。 違うと思うけど。」

「 ……翔平?」

シンが もう一度、言葉に詰まる。

「 誰かに褒めて欲しい……。紗奈ちゃんに褒めて欲しくて……違う?
俺だったら、大事な人に 褒めて欲しい。」

「 …………。シン?」

「 半分正解で……半分は、全力で伝えたい人が 沢山いる。
この世にも……あの世にも。」

「 …………。」

「 俺らは、死んでねぇよって。

生きてる……って。」

夏香は 吸い込まれそうなシンの瞳から目を逸らす。

「 シン……。ごめんなさい。

紗奈ちゃんの…せいにして、ごめん…。」

シンは、夏香の肩に手を置いて ニッと笑う。

ジャケットのポケットから、もう一度スマホを取り出すと 待受画面に視線を落とした。

「 夏香が褒めてくれたから…自信もって このMV 紗奈にも見せれる気がするよ。(笑) 」


俺は……死なない。

こうやって…………生きる。