ー 数週間後 ー

“ DNA• カクテル ” のオリジナル曲 第一弾。

「 NO BORDER (ノー ボーダー ) 」は、

激しいギターのリフが耳に残る、とても繊細で…独特のグルーヴ感が…たまらない……

翔平君らしい 楽曲。

美しく転調するサビに 鳥肌が立つ……。

透明感の奥に 響く、シンの もがきにも似た 低音。

そして……

天を越える高音は、いつしか迷いや 狂気みたいな葛藤にも寄り添える そんな曲に仕上がっていた。

ロックらしいロック。

激しい……美しさ。

美しい……激しさ。

DNA•カクテルは、

ashのDNAを しっかり受け継いでいた。




そして、

私は、彼に恋して……二度目の冬が 舞い降りたことに気づく。

シンと指を重ねた 冬の帰り道を……

二人きりの 帰り道を……

この 粉雪に 思い出す。

この空には、borderなど無いはず、

この空を辿れば……彼のいる空の下に 辿り着く。


シン……寒くない?

ジャケットは……ある?


ここに置いたままの ジャケットの代わりに……

私が傍に行ってもいい?

傍にいて……温めてあげるよ。

傍にいて……私を温めて。

一人のバイトの帰り道、私は金沢の冬の空を見上げていた。