No border ~雨も月も…君との距離も~

レディーマッシュの入口に、ますます日焼けしたせいか 痩せたように見える翔平が はにかんだ表情で立っていた。

「 (笑) 何だよっ…死人が生き返ったような目で 見んなよっ!」

「 ど~こ行ってたんだよっ!連絡も取れねぇしっ。」

タケルは、翔平に駆け寄り…両肩を揺すった。

翔平は無精髭の顔のまま、含み笑いでシンに近づく。

「 まっ。 無事……生還ってやつかな。」

「 ……ったく。 どこに居たんだよ。
一応………探した。」

「 ………砂漠。」

「 ………………(笑) ばぁっかじゃねぇ~のっ!」

シンと翔平は 照れくさそうにお互いを見る。

「 喉、渇いて……俺の居場所なんて なかった。」

「 ………ぷっ(笑) アホじゃね。」

シンが笑うと 翔平も楽しそうに ククッと笑った。

「 ワクワクしてきたっ! ツインギター!!」

ミナトがジェイの 二の腕を軽く叩く。

「 アレ…。私、やっぱ やらなきゃ ダメなの?」

「 あったりめぇーーーだろっ!(笑) 」

シンとタケルは シンクロしてジェイに視線を送った。

「 DNA•カクテル 結成っ!! 」

メンバーの興奮する声を聞きながら、シンは もう一人の声にもう一度 耳を澄ます。


“ いいと思います!(笑) ”


聞こえるはずのない声に、背中を押される。

見えるはずのない 一本の光の筋を頼りに、走り出す。

希望という光の筋。

夢の頂点を差し示す 光の筋。


“ シン君。 歌って下さいっ。 ”


その声は、聞こえないはずなのに 強く響く。


“ 歌って下さいっ!! ”



「 シン……。少し、いい? 」

翔平は バカ騒ぎする3人を残して、シンを レディーマッシュの外へ呼び出した。