No border ~雨も月も…君との距離も~

「 伝説のバンド? 才能のある奴ですってぇ~?
私のことかしらっ。」

ジェイは バックヤードからアコギを出してくると90年代に流行ったビジュアル系バンドのフレーズを弾いて 笑った。

「 アコギで ソレ。新しいなぁ~(笑) 」

「 なっちゃん、“ セクシャル.マッシュルーム ” っていう…4人中3人が おネエのバンド 知ってるぅ~? 」

「 かなり…(苦笑) クレイジーなバンドですね。」

「3人のオカマが、唯一の男子を 食い散らかして 終わったっていう 伝説??のバンドねぇ。」

洋介が 茶化して クスクス笑う。

「 あーーー洋さん、人聞き悪~い。恋愛の“ も.
つ.れ ” ですうぅ。
て、いうか 私は至って 真剣にやってたんだから!
編みタイツ履いて、ガーリー全開でやってたのよぉ~(笑) 」

洋介と夏香は 寝息を立てるシンの隣で、ジェイの黒歴史に しばらく笑って、しばらく昔話に 盛り上がった。



才能のある奴なんか、腐るほどいるんだけど…
夢を 掴める奴は、一握りも居ないんだよ。

才能のある奴が、夢を掴めるとも限らないし
夢を掴んだ奴が、人より勝っているとも言い切れない。


だから、とにかく全力で 1度の人生を 生きて。

1度きりの自分を思い切り、生き抜けばいい。

その人生が 長くても 短くても…先に逝った奴は そうやって教えてくれる。

人生は 1度きりだと。