No border ~雨も月も…君との距離も~

「 (笑) ここにゴミみたいになってるコイツに、投資したくなった。」

「 へぇーーー。洋ちゃんの口癖…金の成る木だったんだ。ash。」

「 そっちこそ…雑な言い方よせよ。夢…だよ。
Dream。(笑) 俺、バカみたいに…久し振りにワクワクなんかしたりして…。
コイツらなら…って。」

「 いいじゃ~ん♡いつもクールな洋さんが 熱くて…いいんじゃないっ!!」

「 それだけ…ashは 完璧だった。メンバーのバランスが完璧だったんだよ……。」

「 ……………………。」

ジェイは、シェイカーの手を止める。

そして…いつかのタクちゃんが 座っていた席を見つめた。

「 なかなかバンドとかグループってのは…4人が4人とも同じ志しを持って、そこに温度差が無くて…てのが難しくて。

才能は もちろんのこと…それぞれの個性の相性が良くないと、長くは続かない。

ぶつかり合わない バランスが難しい。

メンバーさえ集めれば いくらでもバンドの結成はできるけれど……

ファンが熱狂するのは、やっぱ根底にあるチーム力……って言うか…。

見えない部分なのかなって。」

「 確かに…ashは、人を惹き付けて 一緒に上げて行こうとする パワーがあった。」

「 昔、金沢にBIGな4人が いたんだ。」

「 (笑) 」

ジェイは、懐かしそうに どこか遠くを見つめる洋介に笑いながら…BGMのヒップホップに身体を揺らした。

「 まぁ~。(笑) そのBIGな一人が 俺なんだけど。」

「 まぁ~。(笑) そうね♡ 」

洋介は ジェイからアメリカ産のビールとグラスを受けとると “ 自分で入れる ” と頷いて、煙草をくわえながら グラスに注いだ。

「 そいつら4人は…4人とも才能はBIGなくせに バンドは一緒に組めなかったんだ。

それぞれが別のバンドで活動してた。

この4人でバンドを組めば…最強っ!…なんて言われたりしたけど……

ダメ だった。

4人の力が 強すぎて……ぶつかるんだよ。

力が 強すぎて…お互いを潰してしまうんだ。

ashのタクは 強すぎる3人の力を中和させて…

それぞれの個性を 化学反応させる 力を持ってたんだよ。」

シンと翔平、タケル…3人の強烈な才能を上手く混ぜ合わせていたのは…タク。

「 ベース…誰でもいいわけじゃないのね。」

「 そういう事なのかな…。 なっ!シン。」

o(__*)Zzz

シンの背中を軽く叩いた後、寝息を立てるシンを洋介が覗き込む。

「 ヤベッ。ダメだっ!コイツ。ガチ寝してるわぁ~! (苦笑) 」