No border ~雨も月も…君との距離も~

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「 あっ……。ほらぁ~! こぼれるってぇ。」
ジェイは グラスを完一髪で シンの肘から 避難させる。

そして、スマホを逆の手に 持ち直す。

「 でねぇ~。まぁーーーこんな感じなのっ。なっちゃんさぁ~悪いけど…責任もって片付けてくれる? コ~レ~。この子っ!!」

ジェイは わざとスマホの向こうの夏香に伝わるように 大きなため息をつく。

「 片付けてって……俺は、ゴミじゃ…ねぇ~つーの。」

「 はい、はい。」

「 ………………ん?……アレ(゜∀。) もしか…して、ゴミ??」

「 はい、はい、はい。 今、あんたのマネージャー呼んだから、さっさと帰りなさいよっ。
今日はっ!!」

「 ………んー。 ヤダッ。o( >_< )o 」

「はぁっ? ヤダッじゃないわよっ! ……ったく、飲みすぎだっての。」

そう言って ジェイは もう一度 グラスを取り上げると、カウンターにうつ伏せているシンの頭を ツンツンつついた。

その時、扉が開いて 洋介が顔を覗かせた。

「 ちっすぅ~。おっとぉ問題児!! ここにいた。(笑) 」

「 あら。洋さ~ん。いらっしゃい。
事務所でも 問題児なのっ? ここでも 問題児なのぉ~(笑) で、今、保護者……呼びつけたところよ。
なっちゃんに、とっとと持って帰って貰わないと……。」

「 期限つきのデビューの延期。
まぁ……冬までに コイツが歌えなけりゃ……契約解除ってとこかな。
ベースなんて…いくらでもサポート立てるって言ってやってんのに。」

洋介は、シンの隣に座って キャップをかぶり直す。

「 ベース…上手い奴なんて ゴロゴロいる。」

「 延期して待っててもらえるだけ、有り難いわね。」

「 悲劇は、いつか…ビジネスになるっ!」

「 最っ低ーーーっ。聞かなきゃよかったっ。
不謹慎よぉ。業界人…これだから嫌っ。」

洋介の声にシンは 眠ったフリをする。

…フリと言うか半分意識不明なので…反応できない。

「 まぁ、それだけashってバンドは ちょっと特別だったよ。俺の中では…… 」

「 素直じゃ無いわねぇ。いいお歳してっ~。
ちょっと…じゃないでしょ!」