*・゚゚・*:.。..。.・゚・*:.。. .。.・゚゚・*

「紗奈っ!!こっち、こっち。」

新宿の駅で 鈴ちゃんと合流して 高速バスターミナルへバタバタと走る。

東京(ここ)から 帰らなければいけない。

生活がかかっている現実からは 逃げられない。

「 や~ばいっ!乗り遅れるっ!!」


金沢駅行きのバスターミナル。

顔のほとんどが隠れるくらいの 大きいマスクに…黒地のキャップ。

白のBIGTシャツ以外は黒づくめの…職質されてもおかしくない 出で立ち。

なのに…

彼のスタイルの良さと 特別なオーラは日常の何気ない風景に、溶け込めないくらい…。

一般人でないことが、わかってしまう。

「 遅っせーーよっ(笑) 乗り遅れるぞっ。」

「 …………シンっ。」

マスクをスッと顎まで下げると、彼は少し首を傾けて 微笑んだ。

私は 思わず荷物を足元に置き去りにして………

シンの胸に飛び込む。

「 ………シン。逢いたかったよ… 」

「 やっと………逢えた。」

ぎゅっと私を抱きしめる腕。

シンのぬくもりが…私にはやっぱり馴染む。

大きすぎるシンの夢に…私はついていけなくて。
そんな自分に、どうしていいか分からなくて…。

それなのに…

“ 好き ” は止められない。

愛することを…やめることなんてできない。

そう…

私は 素直になれないくらいシンを好きになりすぎていた。

東京で、そんな自分に気づかされた。

ほんの束の間だったけど…シンに逢えた…。


ターミナルで右手を挙げるシンを残して…金沢へ走り出したバスの中。

シンに言われた通り、インスタを開く。

「 ………あ…(笑) 」

「 何?何?私にも見せてよぉ~♡ 」

鈴ちゃんが、覗き込む。

「 ………♡ やーだよっ(笑) 見せないっ!!」

「 うわぁっ!めっちゃ気になるっーーーー!見せろっ。このっ!このっ やらしいわぁ♡ 」

シンがアップした画像は 珍しく彼の横顔。

シンのインスタは…自分の写真はあまりなくて、風景だったり月だったり…シンから見た景色が多い。

珍しく その横顔を紫色に加工して、笑ってる。

“ The violet is very wanderful ♡ ”

コメントに紫の♡ハートマーク。

珍しーーーー笑

レア♡笑

可愛いーーーー(´∩ω∩`)♡

ファンのコメント欄が ざわつく。

鈴ちゃんが ニタニタして私を見る。

「 やっぱ、紗奈のワンピース、惚れ直したんだねぇ~! ひゅ~♡ 」

「 やめてよぉ~!…もー…(笑) てか……
そういう事に しとこーかっーーーー!(笑) 」