「 ぷっ……(笑) 」

「……何が、おかしいんだよっ!」

「 謝らないんじゃないの? (笑) 」

私は、きっと…こういうところに甘えてる。

シンはいつも、折れてくれて…

あまのじゃくの私に、好きだよと伝えてくれる。

シンの優しさが 好き。

ちょっと、不器用で…ちょっとダメな所も…私には心地よい。

「 紗奈だって、今 どこに居るんだよっ。」

「 それは……。」

「 翔平の部屋。 翔平とくっついてた……。」

「 私……謝らないからっ。謝るようなことしてないし……。」

「 翔平と抱き合ってたのに?」

「 …………見てたの?」

「 あーーーー。飲みすぎた…。
明日になれば、俺、今日の事 記憶にないと思う。
きっと……忘れる。」

「 ねぇ……シン。」

「 ……忘れる。」

「 ……シン…… 」

「 うわぁーーーー頭っ痛っーーーー。
吐く。吐きそうーーーー!!」

「 えっ!? 嘘?ホントに?
だっ大丈夫っ?」

スマホの向こうの 緊迫したシンの声に アタフタする。

「 (笑) 嘘だよっ。でも…めちゃめちゃ頭、痛ーっ!」

シンの いつものケラッとした笑い声に、ひとまず…胸を撫で下ろす。

「 ごめんね…シン。」

「 なんだよ。謝らねぇんじゃないの?」

「 (笑) そうだった。」

「 ねぇ紗奈。切らないで…。」

「 …えっ? 何?」

「 通話、このまま 朝がくるまで 繋げてて。」

「 …………うん。 (笑)わかった。」

「 一緒に眠ってよ。」

どうやったら、そんなに俺流全開で上手に甘えられるのか……。

「 ……うん。 朝までシンと繋がってる♡」

「 …………うん、そう。(笑)」

「 ……?……?シン?」

「 一緒に……このまま……zzz… 」

「 …ちょっとっ?……シンってば…?」

「 ……zzz……zzz 」

「 寝てるし…(笑) 」

私は、液晶画面に そっと触れて…シンの寝顔を想像しながら 微笑む。

そして、ベッドに横になって 通話のままのスマホを耳元に置いて 目を閉じた。

一緒に……このまま。

東京は 都会です。

色々な人がいて、色々な光と音と匂いと…。

ざわつきます。

そして…自分を見失いそうで 少し怖いです。

けれど シンを好きな気持ちは、どこにいても同じで こんなにも微量な電波でも、彼と繋がっていられるなら…大きな安心が 包んでくれる。

見失わないように…

翻弄されないように…

“ 一緒に 眠ってよ。”

“ 離さないで…”

東京は…やっぱり、都会でした。