「 もしもし……俺。」

少し眠そうな シンの声が 低く響く。

「 起きてた?」

「 うん……起きてた。 お疲れ様。
レコーディング、どう? 順調? 」

シーツの擦れる音。

ベッドに横になっている シンを想像して、両手を伸ばしたくなる。

「 機材……めちゃくちゃ いいから、音、すんげぇ~いいっ!!」

シンのクスッと笑って……楽しそうな声を聞くと、私まで嬉しくなって 逢いたくなる。

「 ……?どうした? 」

「 ううん……なんでもない。(笑)
……ちょっとだけ。」

「 ……ちょっとだけ?何?」

「 なんでもないよぉ~。」

「 あっ。 逢いたくなった? 」

シンの、声が…好き。

「 (笑) なんで、わかるの? 」

「 ……あっ…。やりたくなった~?(笑) 」

「 もーー!そういうの…ちがうからっ!(笑) 」

「 そーゆーのちゃうの? つまんねーなっ(笑) 」

「 (笑) 」

「 俺は……逢いたいよ。」

シンの歌う声も、逢いたいと 囁く声も、好き。

「 うん……私も、逢いたい。」

逢いたいは、どれだけ言い合えば 叶うのだろうか……?

シンは 少しだけ、月に強くなっていた。

私は 少しだけ、一人に強くなっていた。

「 あっ 紗奈。デビュー曲の カップリング、俺……歌詞、書いたから。」

「 ホント! 」

「 楽しみにしててっ!」

「 うん!すごく…楽しみっ♪ どんな曲?」

「 う~ん。 ………逢いたい曲。」

「 あーー(ー_ー)!!やりたい曲 なんでしょ(笑) 」

「 そーゆーの !ちゃうよぉ~(爆) 」

シンの ケラケラ笑う声が、私は 好き。

「 ははっ。とにかく…楽しみにしてて。」


だから……

その声が 聞きたくて、笑う声が聞きたくて…忙しいと知りつつも ライブの入っていない日を 見計らって、電話をした……

のに……