わたしはそれに気付いていないフリをしてこうやって近所の人と交流する。



「行くわよ、美波」



「えー、もっと絵本読みたいー」



「ママ買い物しないと」



「お母さんのこと困らせちゃだめだぞー」



「次は絶対もっと読むんだからねー」



「すみません」



「いえ、じゃあね、みなちゃん」




「ばいばーい」



ひとりになったわたしは図書館に入る。



最近は図鑑がブームになっている。



科学系も数学も、古代の絵も、なんでも見る。



時間だけは有り余っているから。



しばらく本棚を見つめてから、『宇宙の図鑑』を取り出す。



大手の出版社の写真よりもマイナーな出版社の方がいい写真を撮っていることがよくある。