歩いて少しのところに図書館はある。
中3の時はよくここにヨリと勉強しに来た。
「あ、ソラちゃんだ!こんにちはー!」
「みなちゃん、こんにちは」
毎日平日の図書館に通っていると、大体何人か知り合いが出来る。
そうやってわたしがおおっぴらに学校に行っていないことが分かるのがお母さんは嫌らしい。
分かった上でやっているのだから、わたしも相当だ。
「ソラちゃん、みなね、ひらがながすこしよめるようになったんだよ」
まだ舌っ足らずな感じで話すのがすごく可愛い。
学校に行っていないで良かったとこういう瞬間に思う。
「もう、美波。
空ちゃん困っているじゃない」
「いえ、全然。
こうやってみなちゃんと話せるの、本当に楽しいんで」
わたしは知っている。
本当はみなちゃんのお母さんも学校に行っていないわたしのことをあまりよく思っていないことを。


